director's voice

佐々木のどかさん(染織)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
佐々木のどかさんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
裂織りバッグを作り始めて10年になりました。
新作のバケツ型は、底に帆布を組み合わせて軽さを出しています。

持ち手も裂織りです。
オリジナルの持ち手を作りたいと、長年課題として取り組んで、2年前からようやく形になってきました。
革を巻いていますが、紐を巻いたり、何も巻かなかったりとバッグに合わせてアレンジしています。
他にも持ち手の素材が異なる裂織りバッグも持っていきます。
持ち手でバッグの印象が変わるので、そこも楽しみながら見ていただきたいです。

口紐の先に、小さな真鍮のビーズが付いています。
今年の春、この小さなビーズに気づいて喜んでくださったお客様がいて嬉しかったです。
口紐の先にも注目してみてください。

裂織りは柔らかい質感が魅力の1つなので、
会場で手に取ってぜひ質感も楽しんでいただきたいです。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
数年前に芭蕉布の展示会に行って感動し、それから糸だけで織りたいと思うようになり、
制作したのが今回の三徳袋になります。
三徳袋は、ヒモでくるくる巻いて包むポーチのような袋です。
綿や麻、太さも違う糸を使い、少しふっくらした布に仕上げています。
糸も染めて、1つの袋に4~5色の色糸を組み合わせて作っているので、1つ1つ微妙に色が異なります。
ヒモもそれぞれ違うので、お気に入りの組み合わせを見つけてもらえたら嬉しいです。

内袋を作った際に出るハギレを使った布バッグも作り始めました。
織りは計算しながら作っていくのに対して、これはハギレの大きさや、その時の気分によって自由に布をつないでいくので
自分でも意図していない柄になるのが面白くて、ハギレがたまってきた時に作っています。

Q3
佐々木のどかさんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。

A3
2006年に、籐バッグの展示会で購入した針山です。
もうだいぶ前のことですが、会場に入った時に積み上げられたバッグの数々を見た時の感動は今でも残っています。
この針山は、整いすぎていない縫い目や少し緩さを感じる籐など、1つのものの中に手仕事の緩急を感じるところに惹かれています。
手元に届くまで半年待ちましたが、使いやすく今でも現役で使っているお気に入りです。

仕事場から見えるリビングの棚にもいろんな作家さんの陶器の置物など置いて、眺めてはリラックスしたり、目には見えない仕事ぶりを想像して気合を入れたりしています。

佐々木のどかさんの出展は、2018年以来。
継続して制作されてきた作品の完成度が高まり、新たな取り組みも加わってとても楽しみですね。

佐々木のどかさんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
インスタグラムはこちらです。
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